このクリーニング方法は、ハリケーンによる洪水被害を受けることの多いアメリカ合衆国ルイジアナ州の住民のため、
ルイジアナ州立大学農学部のスタッフがまとめたものを参考に作成しています。

津波・洪水で被害を受けた住宅のクリーニング方法

 津波・洪水に遭った住宅は、何よりもカビを安全かつ効果的に除去することが必要です。
2〜3日以上濡れた材料にはカビが生え始めます。カビの生育が長くなるほど健康被害の危険性は増し、除去も難しくなります。そのため、津波・洪水が引いて安全になったら、すぐに帰宅し、住宅を洗浄し乾かすことが重要となります。

カビと健康
カビに対する感受性は人によって異なりますが、長時間あるいは大量のカビに暴露されるのは、誰にとっても不健康なことです。
カビは、アレルギー反応・喘息の発作の引き金となり、病気に対する抵抗力を下げるなどの悪影響があります。
幼児、病人、老人などが最も被害を受けやすいと考えられます。ある種のカビは毒素を作り、この毒素が胞子やカビの断片に含まれて空中に浮遊します。
自分でカビを除去するには
1.保護用具の着用
カビに直接触れることや、胞子を吸い込むことは厳禁。
手袋、ゴーグル、新型インフルエンザ用保護マスク(N-95基準)を着用して下さい。
2.清掃場所の隔離と室内換気
カビの生えた物品をクリーニングする際、大量の胞子が空中に放出されます。この胞子が家中に広がらないように清掃区域を隔絶する必要があります。
全部の窓を開き、空気循環システムが動いている場合は、空気循環システムを止めます。
空気の吹き出し口にはプラスチックフィルムを接着テープで貼り付け、2階が乾燥し清潔な場合は、階段吹き抜けにプラスチックフィルムを垂らして空気の流れを遮断します。
電源が復旧している場合は、扇風機でカビの浮遊する空気を屋外に強制排気します。

3.カビの生えた多孔質物品の片付け
カビの生えた多孔質物品や下水で汚れた物品は、なるべくポリ袋に入れて廃棄します。プラスチックのシートなどで包んで搬出すればカビの胞子を撒き散らしません。
津波・洪水に浸かったカーペット、ソファー、カーテン、マットレスの類は、廃棄以外に方法はありません。
しかし、大切にしている家具など残しておきたい場合は、良く洗い、消毒してから屋外で乾燥します。水に浸かったぬいぐるみは廃棄以外に方法がありません。
また、濡れた繊維質の断熱材は、たとえ壁紙が乾燥しているように見えても廃棄します。濡れた断熱材はいつまでも乾かないので、壁内部に不健康なカビや腐朽菌が繁殖することになります。
壁の内装は、浸水レベルより高い位置で切り落とします。水は、毛細管現象で浸水レベルより上まで浸み上がります。
カビの生えた石膏ボード・木質ボード・壁紙・シーリングタイルなどの多孔質内装材は、特にカビのひどい時は廃棄することをお奨め致します。
4.清掃と消毒
プラスチック、コンクリート、ガラス、金属のような材料表面のカビは、簡単に清掃できます。木材も同様です。
(ここでいう「清掃」とは、単にカビを殺すだけでなく、除去すること。死んだ胞子も健康被害の原因になります。)
クリーニングが済んだら、消毒して残っている微量のカビも殺します。特に下水で汚れている場合、消毒は絶対必要です。
消毒する場合、使用説明書や警告をよく読み、注意して薬品を扱って下さい。漂白剤をアンモニアや酸と混ぜないで下さい。消毒剤の多くは、カビを殺しますが再発は防げません。
泥などの沈殿物は全て除去します。壁を開いて内部をホースで水洗いし、リン酸塩を含まない多目的洗剤を使って汚れやカビを洗い落とします。
(リン酸が入っていると、リン酸残渣が将来カビの栄養源になるからです。)
粗い表面は、カビを擦り取ります。水洗いの際、水圧をかけると水が材質に浸透しますので注意が必要です。
クリーニングが済んだら、壁内部や周囲の材質を消毒します。
(消毒薬に汚泥・汚物が混じると、消毒効果が低下する場合があるので注意してください。)
変色の恐れの無い非金属材料の表面は、1リットルの水に100〜200ccの家庭用塩素系漂白剤を溶かした水溶液で消毒できますが、この消毒液は金属を腐食しますので、空調設備に使用しないで下さい。
マイルドで腐食性の無い消毒剤には、アルコール、フェノール、過酸化水素があります。
5.ホウ酸塩処理
壁を構成する枠組み材をシロアリ・腐朽菌・カビ等から守るためには、専門業者に依頼しホウ酸塩処理を行います。他の除菌剤も、乾燥時に生えるカビを制御するのに役立ちます。
木材に撥水剤など水を弾く可能性のある塗料を塗布してはいけません。
6.排気
クリーニングと消毒が終了したら、窓に扇風機などを置いてカビの胞子が浮遊する建物内部の空気を屋外に排出させます。
7.急速乾燥
濡れた物品は、できるだけ早く乾燥させます。
窓を閉め、エアコンを運転するか加熱します。扇風機を廻し、除湿機を稼動します。電力供給のない場合は、全ての窓を開放します。
8.カビを監視する
引き続き水濡れや新たなカビの発生を監視します。
濡れた材質には2〜3日でカビが発生します。木材などの材質は、乾燥しているように見えても、カビの発生に必要な水分を含んでいることがあります。もしカビが再発したらクリーニングを繰り返し、湿度を測定しながら急速乾燥します。
(カビの再発は、材質が十分乾燥していないか、廃棄する方が良いという警告です。)
9.全てのものが乾燥するまで整理を始めない。
乾燥した木材の含水率は20%以下です。
ビニール製の壁紙、油性塗料、その他水分を壁の内部に閉じ込める内装材は使わないで下さい。